2007/03/30

Don't You Worry 'Bout A Thing









Hank Crawford/Don't You Worry 'Bout A Thing(King Record/CTI/KUDU)LP
Hank Crawford(as),Bob James(key,arr.),Richard Tee(key),Hugh McCracken(g),Gary King (b) , Ron Carter(b),Bernard Purdie (ds), Idris Muhammad(ds),Ralph MacDonald(perc),and othersJerry Dodgion(ts,fl),Joe Farrell(ts,fl),Alan Rubin(tp,flh),Jon Faddis(tp,flh),Randy Brecker(tp,flh),Pepper Adams(bs),Romeo Penque(bs) and strings
74年録音。CTIでの4作目のこのアルバムでは「Don't You Worry 'Bout A Thing」「All In Love Is Fair」と2曲スティービー・ワンダーの曲もカバーしてますが、やっぱりクロフォード節が炸裂。圧巻はやはりB面1曲目「Sho Is Funky」でしょうか。
バックは完全にCTI・KUDUが狙ってたと思われる「ブラック・ファンク」のサウンドですが、それにまたこのファンキーなアルトがのっかって一発聴かせてくれるというこのクサさというか洗練されてないスタイルというか、妙に説得力があるのが不思議。こりゃ、マネできまへんで。
ところでレイ・チャールズ・バンドで吹いていたハンク・クロフォードがサンボーンのアイドルやったというのは有名な話。このハンクのソウルフルな唄いくちや雰囲気たっぷりに吹くフレーズに、サンボーンもそういや、たしかにこないなことやっとりますわ、師匠、と思わず頬がゆるみます。

BECK









Joe Beck/BECK(Motown/KUDU)LP
Joe Beck(g),David Sanborn(as),Don Grolnick(key),Steve Kahn(g),Will Lee(b),Chris Parker(ds) and strings
75年録音。「BECK」ちゅうても「Mellow Gold」やないで~。ジョー・ベックのロックなギターに真っ向勝負でサンボーンが吹きまくる名盤中の名盤。全編、サンボーンの音のシャワーを浴びてるみたいで気持ちがよいですわ。
同じ頃にサンボーンはグロリニック、ウイル・リー、クリス・パーカーを従えて初リーダー作「Taking Off」をワーナーに吹き込んでますが、「Beck」の方がギター1本、アルト1本のガチンコ勝負ということもあってか(そこはさすが仕事人サンボーン)、かなりハードに吹きまくってて、ビビッドで肉厚な響きを聴かせてくれます。ラストの「Brothers and Others」では思わずコントロールのタガが外れたようなニュアンスさえ見せます。このあたりはやはり、制作クリード・テイラー、エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーのマジックなんやろね。

The Cape Verdean Blues









Horace Silver/The Cape Verdean Blues(Toshiba EMI/Blue Note)
Horace Silver(p),Woody Shaw(tp),Joe Henderson(ts),J.J.Johnson (tb),Bob Cranshaw(b),Roger Humphries(ds)
65年録音。クラブ・DJの人気盤で、ファンキーなラテンのリズムで踊れる傑作、というのが今時の紹介らしい。そやったんか、ファンキー親父か、ホレス・シルバー。
当時頭角を現してきたジョー・ヘンに、パリで演奏活動してたのをスカウトして引っ張ってきたというウディ・ショウ、LPだとB面にあたる4~6曲目には永らくラブ・コールをしてたというJ.J.をフロントに立てて、裏ジャズ・メッセンジャーズとも言われてるサウンドをのっけて強烈に飛ばしてます。
実際、1曲目「The Cape Verdean Blues」4曲目「Nutville」あたりは、実はこのアルバムで実は最も貢献度大のRoger Humphriesの煽るようなドラミングもあって素晴らしいの一言に尽きます。また、3拍子の「Pretty Eyes」、ラストの「Mo' Joe」を聴いてると、ホレス・シルバーって、時代に巧みに乗った作曲センスやメンバー起用と独自のバンド・サウンドに仕上げる術が実にアッパレやってんなと思ってしまいます。
ところで、夜な夜な、クラブの皆さんはこれでどないな感じで踊ってはるんかなぁ。こちらも気になります。

2007/03/28

The Count's Men









The Count's Men featuring Joe Newman(Camarillo Music/Fresh Sound)
Joe Newman(tp),Frank Wess(ts),Frnak Foster(ts),Benny Powell(tb),Sir Charles Thompson(p),Ed Jones(b),Shadow Wilson(ds),Ernie Wilkins(arr)
55年録音。「ジョー、一発、頼んますわ」とベイシー・バンドのトップ・スター、ジョー・ニューマンはレコーディングの依頼を受けて、アーニー・ウイルキンスにアレンジを頼み、「おう、やるで!」とベイシー・バンドの花形選手に声をかけて集め、これを作ったらしい。
ウイルキンスのアレンジもあって、ミニ・ベイシー・サウンドの趣もありますが、非常にくつろいだ感じでなごんでしまいます。皆さん、ギラギラに輝いて聴こえるのは、やっぱベイシー・バンドにいるときやと思うんやけど、こんなセッションだとそれぞれの飾らない持ち味や「ちょっとやるか」と色気が出てたりして楽しいものです。
ちなみに、ジャケットの右上はパッと見、若き日のコマサかと思いますが、これがジョー・ニューマンさんです。

2007/03/27

Supersax Plays Bird with Strings









Supersax/Plays Bird with Strings(Toshiba EMI/Capitol)
Med Flory(as),Joe Lopez(as),Warne Marsh(ts),ay Migliori(ts),Jack Nimitz(bs),Lou Levy(p),Buddy Clark(b),Jake Hanna(ds),Conte Candoli(tp),Frank Rosolino(tb),and Strings
74年録音。チャーリー・パーカーのソロをサックス・ソリで再現するというメチャクチャしんどい仕事を思いついたのはリーダーのMed Floryらしい。第1作が発表されたのは72年のことで、爆発的人気を呼んで、このストリングスものは3作目にあたる。
私、これを最初に聴いたのは発表されてから何年も経ってた大学1年(いわゆるC年)のときに先輩の車に乗っけてもらってたときにカーステでかかってたものでした。もう、こりゃすごいという衝撃で人の話聞かんと、これに必死に耳を傾けてたという、私は失礼な後輩でした。
いやホンマ、「April inParis」「I didn't know what time it was」といったパーカーがウイズ・ストリングスでやってたものに加え、急速テンポの「Blue'n'Boggie」「Kim」等、まさに一糸乱れぬアンサンブルに今でも興奮してしまいます。
ところで、これも含めて、「Supersax」を聴くと、大体味わう気分が3パターンぐらいにあります。まずは、パーカーのソロ、コピーして一人で吹くのも難儀するのに、これを5本でハモッてやっとる、というテクニカルな部分とそのサウンドに対する衝撃ですな。もうひとつは、逆になんとなく、なぜかそれがむなしいと思えてしまう。最後はパーカー・ミュージックがどうしたこうしたとか以前に、サックス・ソリとしてのドライブ感とリッチなサウンドに惚れ惚れとしてしまう、ちゅうことかな。
「Supersax」って、あれこれ言う人も多いようですが、日本盤解説で後藤雅洋氏が触れているように、理屈なしに3つ目のゴージャスなサックス・アンサンブルを堪能する、ということにつきると最近は思ってます。

2007/03/25

Hampton Hawes Trio Vol.1









Hampton Hawes/Trio Vol.1(King Record/Contemporary)LP
Hampton Hawes(p),Red Mitchell(b),Chuck Thompson(ds)
55年録音。西海岸で活躍していた人には珍しく、バド・パウエルを思わせるスタイルとハード・ドライビングなプレイで人気のホースの初リーダー作。A面1曲目「I Got Rhythm」、B面1曲目「Hamp's Blues」なんかはその典型的なプレイで、このアルバムといえば、と言われる傑作。
でも、それだけやないでと、制作のレスター・ケーニッヒはホースを「スイングするプレイヤーやけど、それ以上のものを持ってましてな、曲の表現や中身がビックリするほどセンスがよろしいアーチストでんな。リリカルでピアニスティックなスタイルが"What is this thing called love"や"All things you are"のイントロでつけたアドリブ・プレイに現れてまっせ。」と紹介しています。
同じピアノ弾きのバリー・ハリスは小川隆夫氏とのインタビューで、洒落たタッチで迫力のある展開をミックスさせるプレイこそがホースの真髄として「What is this thing called love」やソロで弾く「So in love」のコール・ポーターの曲を推薦しています。
思い込みででアップテンポの曲だけに注目するんやなしに、アルバム全体を楽しみたい名盤でんな。改めて思いました。

Medical Sugar Bank









Sato Masahiko and Medical Sugar Bank/MSB(CBS SONY/OPENSKYE)LP
佐藤允彦(key),清水靖晃(ss,ts),高水健司(b),山木秀夫(ds),穴井忠臣(perc)
79-80年録音。佐藤允彦が当時若手NO1のメンバー、というか今となっては超豪華メンバーやけど、を集めて結成したMSBの第一作。Native Sonもスクエアも、まぁ、日本のフュージョンもエエけど、なんかどこか物足りへんと思ってた人たちはこれを聴いてぶっとんだもんです。メロディアスながらアグレッシブなサウンドで、バンドのすさまじいスピード感にスリルリングなソロの応酬と聴き応えありのまさしく名盤。
若き清水靖晃は当時はブレッカー・フリークを自認し、プレイもブレッカーぽいとか言われてましたが、テクニカルな面での影響はあるものの、すでにオリジナリティあふれる驚異的なプレイを展開していて、その才能に改めてひれ伏してしまいます。
残念ながら2枚のアルバムを残してMSBは解散し、その後CDで再発されることも無かったのですが、今、Sony Musicのサイトで熊谷美広氏がCD化希望の1枚にあげておられます。とりあえず私は清き1票を投じておきました。

ATLAS










JAZZINHO/ATLAS(Rip Curl Recordings/Inpartmaint/JAZZINHO MUSIC)
Guida De Palma(vo), Ed Motta(vo,g,etc),Max Middleton(clav),and others
2006年作品。Guida De Palma率いるUKブラジリアン・グルーヴの新星「Jazzinho」の2ndアルバム。ずっとほったらかしにしてましたが、ようやく聴きました。いやー、カッコよろしいです。「レア・グルーヴ、ボサ、ポルトガルのルーツ・ミュージックといわれるファドからジャズまでブレンドしたオーガニックでソウウルフルな音楽」というのがライナー・ノーツの紹介。ほほう。打ち込みから脱却した70年代ぽいテイストとファンキー&ブラジリアンな感じはプロデューサーのEd Mottaの起用が効いているらしい。ふむふむ。そうそう二人のデュエットのラストの「SYMETRIE」がしっとりと心に残ります。
でも驚きというか、買ったときの一番の動機はお元気でいらっしゃいましたか、てな感じでMax Middletonがクラビネット弾いてるというクレジットを見たからやねんけどね。

The Moontrane









Wody Shaw/The Moontrane(Nippon Columbia/Muse)LP
Woody Shaw (tp), Azar Lawrence (ts, ss), Steve Turre (tb), Onaje Allen Gumbs (p, el-p), Buster Williams (b), Cecil McBee (b), Victor Lewis (ds), Tony Waters (congas), Guiherme Franco (per)
74年録音。プロデュースしたマイケル・カスクーナの弁によると、ウエスト・コーストで仕事してたウディ・ショウが「わしゃ、もうやるしかないで」と奮起してNYに再度戻り、バンドを編成して活動を開始したところを捕らえてレコーディングしたようです。
A面1曲目のタイトル曲「The Moontrane」から、「Tapscott's Blues」、B面の5拍子の「Sanyas」なんかはめっちゃハード・ドライブな演奏やし、ラストには名曲「Katrina Ballerina」も収録、全体としてバンド・サウンドを意識したとても素晴らしい仕上がりになってます。ジョー・ヘンやホレス・シルバーでのサイドメンとしての演奏もよかったけど、このアルバムで急激にウディ・ショウは立ち上がったような感じです。
この「The Moontrane」の出だしのイントロを聴くと、ついに走り出した!という躍動感と期待感が一気にふくらんでくるのですが、このアルバム以後、MUSE、CBS、Enja等に残されたウディ・ショウの作品はホンマ、どれも素晴らしいものばかりです。

2007/03/23

New Wine In Old Bottles









Jackie McLean With The Great Jazz Trio/New Wine In Old Bottles (Inner City/Nippon Phonogram/East Wind)LP
Jackie McLean(as),Hank Jones(p),Ron Carter(b),Tony Williams(ds)
78年録音。76年のナベサダとグレート・ジャズ・トリオの共演盤の成功で気をよくしたのか、East Windがこのトリオにマクリーンをフロントにたてて制作した企画盤。でも、マクリーンはやや精彩を欠き、当時絶好調のグレート・ジャズ・トリオの快演が際立つ感じです。このジャケットの鮮やかな色の景色は3人のリズム隊が見せる風景かもしれません。
70年代前半でSteepleChaseでの録音もなくなり、この頃すでに引退状態といわれてたらしいマクリーンやけど、B面頭の「Little Melonae Again」やラストの「Confirmation」ではキラリとビバップ魂の輝きを見せる瞬間もあります。でも、この真ん中に挟まれたリラックスしたバイショーぽいバラード「Bein' Green 」でどうもマクリーンの切ない泣きが聴こえるような気がします。
そういえば、高校の頃に三宮のジャズ喫茶「にいにい」に初めて行ったときに、連れのアルト吹きの友人が新譜だったこのレコードをリクエストしました。「マクリーンが好きなんか。」「そうなんです。」「マクリーンやったら、他にももっと泣いてるやつあるで。」マクリーン好きと聴いて気をよくしたらしいマスターと連れの会話を横で聞きながら、僕は壁にかかったこのLPのジャケットをずっと見つめてました。空と海の色に赤いアクセントの効いたデザインに、僕は短絡的に少し乾いた夏の風を思ってました。ちなみに、マクリーンとトニー・ウイリアムスとのレコーディングでの共演はこのアルバムがどうも最後のようです。

2007/03/21

THE GRIFFITH PARK COLLECTION









THE GRIFFITH PARK COLLECTION (Warner Pioneer/ELEKTRA/MUSICIAN RECORDS)
Chick Corea(p),Stanley Clarke(b),Lenny White(ds),Joe Henderson(ts),Freddie Hubbard(fh,tp)
81年録音。久々に聴いたなぁ。メンツ的にRTFの4ビート版かと思われそうですが、どちらかというと、レニー・ホワイトのプロデュースの下、チック・コリアはオール・スーター・セッションの優秀なピアニスト的な立ち位置にいるような感じです。その分、内容が玉虫色になった感は否めませんが、トニー・ウイリアムスをちょい意識させるレニー・ホワイトのタイコやスタ・クラの弾くベースのランニングを聴いてると、60年代、70年代から脱皮しつつある新しめのビート感のジャズやってんなぁと、改めて実感させられるものがあります。
うーむ、それにしても、A面の1曲目「L's Bop 」のハード・バップな演奏もカッコイイけど、続く2曲目「Why Wait」でテーマの途中で挿入されるソロも、フレディに続くソロでも、ジョー・ヘンの実に素晴らしいこと!
ところで、「ELEKTRA/MUSICIAN」を任されたブルース・ランドヴァルが「チャカに唄わせて、当代一流の君らで一発やったらおもろいんちゃうやろか」とレニー・ホワイトにもちかけて、チャカ・カーンを入れた「ECHOES OF AN ERA」を始めに、このメンツでのライブ盤「THE GRIFFITH PARK COLLECTION 2-IN CONCERT」、ナンシー・ウイルソンのヴォーカルでライブ盤の「ECHOES OF AN ERA 2-THE CONCERT」と、結局82年に発売されたものが合計4作もあります。
このLPは日本では「ELEKTRA/MUSICIAN 」レーベルの第1回作品として発売されてました。私、このLPしかもってないけど、今となってはいい作品を残してくれたもんです。他のも聴きたくなりました。

Black Gold Massive









Black Gold Massive/stories(Swanky Records/Major Menace)
2006年作品。Chris Blackgoldちゅう人が中心となったUKのユニットで、ヴォーカルにはLuther VandrossやBeyonce、Alica Keysらとの共演経験もあるというCindy Mizelleがフィーチャーされている。いわゆる「UKソウル・アシッド・ジャズ」?ちゅうのに分類されるんかしら。なつかしの90年代を体験するようなサウンドがとても心地よいです。Incognitoみたいなんが好きな人なら1曲目の「Just Make A Move」2曲目の「Cast No Shadow」を聴くと思わず食いつくんやないでしょうか。
これって1月のいつ頃か忘れたけど、駅ビルの新星堂で試聴機に入ってたのを聴いておおーっ、Incognitoみたいでカッコイイ、と思ったんやけど、ジャケ写のPOPはあるけどモノがない。まだ発売なってないんか?とAmazonやHMVのサイトを見ても入荷未定やったり取り寄せ3週間とか掲載されてる(当時ね)。しゃーない、日本盤が発売なったら買お、と思いながらも、気がついたらジャケ写のPOPも、試聴機もはずされてた。どないなってんねん、と思ってある日店員さんにたずねたら、品切れでして、ということで取り寄せてもらったら入荷まで1週間近くかかってた。
あまり話題になったり、売れたりしてないのかしら?そういや、J-Waveとかでかかってるの聞いたことないしなー。わたし、これけっこう気に入りましたで!頑張れSwnakyレコードの宣伝マンさん!

2007/03/20

Perugia









Roland Hanna/Perugia(Trio Records/Freedom)LP
Roland Hanna(p)
74年録音。モントルー・ジャズ・フェスティバルでのソロ演奏を収録したライブ盤。
実は結構ローランド・ハナって好きです。でも、ハナってどうもカリスマ性がないというか、いつも人よりイイ仕事して皆の尊敬を集めてるのに本人はそうなの?みたいな、どこか気のいい、出世とはなんか無縁な中間管理職のオヤジさんみたいな感じです。
A面の「Take The A Trane」みたいにユーモアたっぷりにはじけたダイナミックな演奏に、オリジナル「Perugia」から始まるB面のどこか内省的で寂しげな印象で終わる演奏との対比もおもしろく、ローランド・ハナならではのちょっとクラシックぽいというか、質感の高いタッチで全編楽しめる。
それにしても、なんでこないなジャケットなんやろ?日本のジャズ喫茶ファンが喜びそうなもうちょいシリアスなアーティスティックな面が強調されたビジュアルやったら、名盤の仲間入りやったやろに。。。でも本人はメチャ気に入ってたんかも?

2007/03/18

Clifford Brown With Strings









Clifford Brown/With Strings(Nippon Phonogram/EmArcy)
Clifford Brown(tp),Richie Powell(p),Barry Galbraith(g),George Morrow(b),Max Roach(d),Neal Hefti(arr, cond),Neal Hefti Orchestra
55年録音。久々に聴く。1曲目の「Yesterdays」のイントロで「あれ、"Summer Time"が始まりそうなイントロやけど、そうやったけ?」とよけいなことを考えてたら、ブラウニーが入ってきて、その一発目のF音への駆け上がりを聴いたとたん腰が砕けそうになった。あまりに素晴らしいプレイに、すみません、参りました、と思わず謝ってしまいました。(なんで謝らなあかんねん、て後から考えると不思議。)
全編、「At Basin Street」「Study In Brown」とか他のアルバムで聴くようなバリバリのアドリブ・ソロはなく、フェイクしながらもほぼ忠実にメロディを吹いていくんやけど、ため息さえ出るフィーリングで、どれも人が書いた曲とは思えず、全部ブラウニーの心から湧き上がるメロディとしか聴こえようがない。
しかも、あー、美しき世界でんなぁ、で終わらず、どこか挑戦的というか野心的というか、そんな感じも伝わってくる。全曲バラードなんやけど、ストリングスもののイージー・リスニングなんてものではなく、ダイナミックなジャズ・サウンドがバンバン伝わってくる、ちゅう感じかな。めちゃくちゃノッてたんやろなぁ。
ペット吹きは、これを聴くと、さらにブラウニーはサウンドのコントロールがすべて完璧で、唇のコントロールが、とか、アーティキュレーションがとか、トランペッターとしての技巧がいかに高度か。。。という話に突入するらしいんやけどね。

2007/03/16

Groovy









Red Garland/Groovy(Victor Musical Indutries/Prestige)LP
Red Garland(p),Paul Chambers(b), Art Taylor(ds)
56,57年録音。今日は大腸検診で内視鏡検査を受けた。朝から2リットルの下剤を飲んで腸内を洗浄し。。。検査結果は異常なしやってんけど、疲れました。とにかくリラックスして気持ちの明るくなるものを、とついこのLPに触手が。
アルバムのネイミング「Groovy」のカッコよさとブルージーなプレイ「C Jam Blues」「Willow Weep For Me」で名盤の座を射止めたレッド・ガーランドの人気作。「C Jam Blues」以外にもB面の「Hey Now 」、かろやかにswingしまくるA面3曲目「Will You Stay Be Mine 」、などどれをとっても文句のつけようなし。ブルージーになってもアップテンポになっても、絶対ヘビーなビート感にならず、コロコロ転がる美しいシングルトーンとして聴こえるのが人気のツボちゅうやつやろね。ポール・チェンバースのランニングも絶好調。いつ聴いてもホンマエエ、レコードやねぇ。このまま今日ははよ寝るでえ。

2007/03/15

One Step Beyond









Jackie Mclean/One Step Beyond(Toshiba EMI/BlueNote)
Jackie McLean(as),Bobby Hutcherson(vib),Tony Williams(ds),Eddie Khan(b),Grachan Moncur III.(tb)
62年録音。タイトル通り、当時、変貌を遂げようと「One Step」踏み出したマクリーン、というところでしょうか。突然フリーキーなフラジオ・トーンへ跳躍するフレーズも、新たに前進するために、まだもがき苦闘する叫びとかと言ってしまえばカッコイイ。まぁ、なんちゅうか苦闘してたかは定かではないんやけどね。
でも少なくともミュージシャン・シップとしてめちゃエラかったのは、当時まだハイティーンの驚異(脅威?)の新人ドラマーをバンドに起用してそのセンスを自分の音楽を高めるための起爆剤にしてた、というところと思います。このアルバムを聴くとマクリーンのモーダルなプレイ、フリーキーなフレーズより、マイルス・バンドに入る前のトニー・ウイリアムスが自分のスタイルをもって、すでにあんな風にプレイしてた、ということのほうに衝撃を覚えます。ホンマ、1曲目「Saturday And Sunday」からドラム聴いてるだけで震えあがってしまいますがな。

2007/03/13

Canta Brasil









Kenny Barron/Canta Brasil(Universal Music/Sunnyside)
Kenny Barron(p),Trio da Paz featuring:Nilson Matta(b),Duduka Da Fonseca(ds),Romero Lubambo(ac-g),Anne Drummond(fl),Valtinho(perc),Maucha Adnet(vo)
2002年録音。 このアルバム、ギターのRomero Lubambo率いる「Trio da Paz」との共演盤でブラジリアン・ジャズをやっている、というのが最も普通の紹介フレーズですな。
私、北川潔バンドで弾いているときを除けば、このアルバムのKenny Barronが近年では一番好きです。というのもこのCDでのタッチの鋭さ、スピード感、唄いまくるフレーズには、ホンマぞくぞくします。
Kenny Brronって、一緒にやってる人にものすごく触発されるんやな、という気がします。特にギターが入ってると何か、この弦の響きやアタック感に触発されるものがあるんでしょうか。抜群の集中力とメロディ感覚でレスポンスしてるふうに聴こえます。
特にテンポがイイということもあって1曲目「Zumbi」5曲目「Bachiao」7曲目「Dona Maria」はスリル満点、バンドとしても白熱した出来で、聴いてるこちらもどんどん食いついてしまいます。最後の「This One」では最後、コーラス入りで哀愁漂うメロディに胸が切なくなってまうし。いや~、久々に聴いて、ホンマ、やっぱよろしいわ。

2007/03/11

The Jaki Byard Quartet Live!






Jaki Byard/The Jaki Byard Quartet Live!,Vol.1(Prestige)LP







Jaki Byard/The Jaki Byard Quartet Live!,Vol.2(Prestige)LP


Jaki Byard (p),Joe Farrell(ts,ss,fl,d),George Tucker(b),Alan Dawson(d,vib)
65年録音。「Lennie's On The Turnpike」でのライブ。今はちゃんとCDで発売されてるけど、このLPを買った頃はまだ無くて、一生懸命探しまわってやっとディスク・ユニオンの横浜でゲットしたものです。渋谷の「Jaro」に行ったときは店主に「Jaki Byard好きっていうのはヘンタイだね。」とか言われて、いやいやちゃいまんねん、私ジョー・ファレル狙いで探してるんです、と冷や汗をかいてしまいました。
もうしょっぱなの「Twelve」から、何やってんのJakiさん?てな具合でジェットコースターのように駆け巡るピアノを相手にこれまたファレル、ジョージ・タッカー、ドーソンが縦横無尽に立ち振る舞って応戦するという、豪快なライブです。もうジャケット通り、「がはは」ってな感じです。
しかも「Thing What Is」「Alan's Got Rhythm」ではアラン・ドーソンがvibを弾いて、なんとジョー・ファレルがタイコを叩いてる。うーむ、なんてサービス満点。
そんで私、心惹かれるのはゴリゴリの「vol.1」よりはちょっとリラックスした「vol.2」かなあ。「vol.2」A面2曲目「Ballad Medley」では「Tea For Two」「Lover」「Strolling Along Theme」「Cherokee」「Shiny Stockings」が目まぐるしく登場しては退席していきますが、ファレルの圧倒的なブローが素晴らしい「Strolling」以降の出来にはいつ聴いても惚れ惚れしますがな。B面での「Cathy」でのファレルのバラード・プレイやラストの「Bass-ment Blues」のタッカーのソロなんかもくつろいだ雰囲気で聴きどころ満載です。

Atlantis









McCoy Tyner/Atlantis(Fantasy/Milestone) LP
McCoy Tyner(p),Azar Lawrence(ts,ss),Joony Booth(b),Wilby Fletcher(ds),Guillerme Franco(perc)
74年録音。サンフランシスコの「Keystone Korner」でのライブ。これも昨日、月光社で1400円で買いました。2枚組なんですが、それぞれ片面を埋め尽くす、A面「Atlantis」、D面「Love Samba」が圧巻です。これまた当時20歳というAzar Lawrenceのテナーも思い切りがよくてカッコイイですな。「Transition」あたりのコルトレーン・バンドの音楽を切に一番求めてたのはマッコイ・タイナーやったのかもね。

Solitude









Karin Krog/Hi-Fly Karin Krog and Archie Shepp(Teichiku Record/Compendium Records)
Karin Krog(vo),Archie Shepp(ts),Charles Greenlee(tb),Jon Balke(p),Cameron Brown(b),Arild Andersen(b),Beaver Harris(ds)
76年録音。今日もハイライトの練習前に荻窪・月光社をのぞく。来週の練習場所にしている初台のスタジオが今後拠点になるかもしれないので、月光社に行くのもこれで最後かも。そんなこともあって、みつけたこのLPを迷わず購入。700円でした。
帰宅して風呂上りに早速聴いてみる。こりゃ700円にしとくにはもったいない!1曲目の「Sing Me Softly Of The Blues」から思いきり引き込まれてしまう。B面1曲目「Solitude」にいたっては唄とテナーのデュオやで。こんなん唄ばんで吹くのんありか?と思えるどこかネジの外れたような感覚のシェップのテナーがめちゃくちゃ素晴らしい。
ええええっ、ちゅうようなシェップの音に、そんなん普通、なんかあった?かのように唄うクローグの懐の深さにも思わず脱帽ですが、A面2曲目「Steam」を聴くと、いやいやこの人もちょっとヘンかなと思えます。それにしても力強く説得力のあるトーンであふれ出るテナーの音が緩急自在に紡がれていく空間に身をゆだねる快感に、しばらく病み付きになりそうでんな。

2007/03/10

Floresta Canto









Phil Woods/Floresta Canto with Chris Gunning and Orchestra(RCA co/RCA Records)LP
Phil Woods(as,ss),Gordon Beck(key),Daryl Runswick(b),Dave Markee(b),Alf Bigden(ds),Chris Karan(ds,perc),Chris Gunning(cond),and others
76年録音。ブラジリアン・ビッグバンドでボサをやった名盤とか紹介されたりしてるけど、スタイル自体が問題やないですわ。「ALIVE AND WELL IN PARIS」や「Music Du Bois」みたいにシャカリキになって爆発してるのもええけど、肩の力抜いて楽に唄ってるメロディが実に素晴らしかったりする。てなところで、このレコード、B面がとても好きです。
A面から続いて聴くと、B面出だしの「Sails」の頭のアルトの音からして雰囲気が違ってます。Janis Ianの「Roses」「Jesse」ちゅう曲をやってるということに目が行きがちですが、本命はB面4曲目ソプラノで叙情性たっぷりに唄う「Portrait of Julia」とラストの「Menino das Laranjas」。思わず耳をそばだててしまうこの2曲だけ、どうもフィル・ウッズもバンドも気持ちの持っていきかたがさらに違うような気がします。この2曲でこのアルバムを買って幸せな気持ちになりました。はい。

2007/03/07

Tune-Up !










Sonny Stitt/Tune-Up !(MUSE)LP
Sonny Stitt(as,ts),Barry Harris(p),Sam Jones(b),Alan Dawson(ds)
72年録音。MUSE盤のスティットはとにかく活き活きと張り切ってるように聴こえます。72年はMUSEに2月にこの「Tune-up!」、6月に「Constellation」12月に「12!」と立て続けに録音していて、どれも素晴らしいけれど、とりわけこれを愛聴している人は多いと思います。私も実はそうです。
なんせテナーとアルトと持ち替えてA面からB面ラストまで、スティット節冗舌全開です。特にラストの「I Got Rhythm」では、まだ吹くの?どこまで行くねん、っていうぐらいノリノリにスティット・フレーズ満載で吹き続けてくれます。ちゅうか、このソロからコピーしたフレーズを吹く人が廻りに多かったからそう思うだけでっしゃろか?とにかく、ご機嫌な気分を味わうには絶好の1枚でんな。

2007/03/06

Second Set









Cedar Walton/Second Set(SteepleChase)LP
Cedar Walton(p),Sam Jones(b),Billy Higgins(ds),Bob Berg(ts)
77年録音。サム・ジョーンズ、ヒギンズ、シダー・ウオルトン仲良しトリオに、ボブ・バーグをフロントに置いてのデンマークの「Monmartre」でのライブ。
サム・ジョーンズ名義での「Something in Common」が9月13日の録音で、このレコードは同年の10月1日。リハもしっかりやってるちゅう感じで、もともとはこの4人組がレギュラーの編成だったんでしょうね。ライブなので、ラフな面もあるけど、演奏自体がのびのびとはじけてて聴いてて熱くなってくる。とりわけシダー・ウオルトンがハツラツとしてるけど、それに引けをとらずボブ・バーグが素晴らしい。
A面の「I Didn't Know What Time It Was」では、先発のシダー・ウオルトンの唄いまくりに負けへんでと繰り出されるボブ・バーグの吹き倒し攻撃には、思わずニンマリしながら「ええど、ええど」と声が出てくるかと思うほどです。まぁ、もう夜も更けてますし、ご近所の手前もあるので、言いませんけどね、もちろん。。。。ホンマやて。

2007/03/05

Something in Common









Sam Jones/Something in Common(MUSE)LP
Sam Jones(b),Cedar Walton(p),Billy Higgins(ds),Blue Mitchell(tp),Slide Hmpton(tb),Bob Berg(ts)
77年録音。70年代ハード・バップの良心ともいえるサム・ジョーンズのリーダー作。サム・ジョーンズの真面目な姿勢もあって、どこか地味な感は否めないけど、いいですね~。でも、なんといってもボブ・バーグの登用が効いてます。ソリッドな音で「やるで、やるで、やるで」と内面から湧き上がる何かにこらえきれず疾走する感じがたまりません。80年前後って、ジャズやったら、ブレッカーより「アニキ、やるなー」ちゅう感じでボブ・バーグのほうが断然カッコイイでー、と当時はマジに思ってたりましました。他にもこの頃には「Visitation」とか佳作がありましたもんね~。

2007/03/04

Snow Dance









Kimura Kaela/Scratch(Columbia Music Entertainment)
07年作品。「うたばん」でSMAP中居くんを「お前」呼ばわりしたとか。この1年ぐらいとても耳に残る唄声の木村カエラの新作。
今、とってもノッてるという感じが出てる一方で曲ごとにどこか違った印象を与えるようなところもある。このタイトルには「スタートラインを引く」という意味でつけてるそうで、この後スケールアップするとしたら選択肢はどこなんでしょう。興味あります。
私、彼女の内面の脆さが少し感じられる「Snow Dome」「Dolphin」「Tree Climbers」が目下お気に入りです。特に、「Snow Dome」の「ひーろーがるー」の「ろー」のB音の声の響きがとても切なくて好きです。

2007/03/03

Oh,Now I See









Johnny Griffin/The Kerry Dancers(Victor Entertainment/Fantasy/Riverside)
Johnny Griffin(ts),Barry Harris(p),Ron Carter(b),Ben Riley(d)
61年録音。おお、パーカー・フレーズをこんな軽やかな曲に仕立て上げてからに、ちゅうて、逆やがな。パーカーがよく引用したメロディのモトが「The Kerry Dancers」で、これはもともとアイルランドの民謡やとか。てな感じで、サブタイトルにも謳われている通り「The Kerry Danders and other swinging folk」をグリフィンが吹く企画モノぽい作品。
そんなこともあってか、ホットに咆哮する演奏を期待すると肩透かしにあうような、とても力の抜けた演奏が並んでるんやけど、グリフィンがこんな繊細な表現力でロマンチッックに唄うメロディメーカーやったんかと再認識させられる。一方で、こっそりオリジナル曲のバラード「Oh,Now I See」や「Hush-A-Bye」で少々毒を盛るのも忘れていない。恐るべし、グリフィン!

Zoot!









Zoot Sims/Zoot!(Fantasy/Rivereside)LP
Zoot Sims(as,ts),Nick Travis(tp),George Handy(p),Wilbur Ware(b),Osie Johnson(ds)
56年録音。Zoot唯一のRiverside盤とか。グリフィンを聴くと反動でこういうロイシの飛ばしまくる人のレコードも聴きたくなりまして、B面ラストの「Taking a chance on love」を聴くと自分が音痴なんを忘れて一緒に大声で唄いたくなります。
いやー、こんなふうに音数少なくというか、無駄な音が無いというか、シンプルなメロディでグイグイとSwingするテナー吹きにどうやったらなれるんやろなぁ。うーむ、凡人には無理かも。。。
それはそうと、ズート・シムズって演奏だけ聴いてると真面目なロイシのナイス・ガイやねんけど、とっても人が良くてどっか田舎ぽさが抜けないウオームな人、ていう気がするんやけど、実際はどうなんでしょうね。

2007/03/02

THE MESSAGE!









Johnny Griffin/The Little Giant(Fantsy/Riverside) LP
Johnny Griffin(ts),Blue Mitchell(tp),Julian Priester(tb),Wynton Kelly (p),Sam Jones,(b),Albert Heath(ds)
59年録音。「まいど!わし、ブローしてまっせ!」といってるかのようなジャケットが実にカッコイイ。
実際中身も「よっしゃ、いくでー。みなついてこい!」と快調なブローで飛ばすグリフィンが他のメンバーを鼓舞してるかのようで熱いプレイが繰り広げられてる。特に2曲目の「The Message」では、ほんま、熱気と緊張感がみなぎったファンキーなプレイで圧倒されてしまう。
意表をつかれるのがピアノレスのトリオで怪しげに演奏されるA面3曲目の「Lonely One」。ついブローテナーのお約束ショーケース的な芸かと誤解してしまうが、ところがどっこい、これで、グリフィンが脳天気にブローするただの早吹き男やなくて、実にセンシティブな表現力をもったテナーマンやということがよくわかる。恐るべし、グリフィン。









Mel Lewis Jazz Orchestra/Soft Lights and Hot Music(Nippon Phonogram/Musicmasters)
Mel Lewis(ds),Kenny Werner(p),Dick Oats(as,ss,fl),Ted Nash(as,ss,fl,cl),Joe Lovano(ts,ss,fl,cl),Ralph Lalama(ts,fl,cl),Gary Smulyan(bs,b-cl),John Mosca(tb),and others
88年録音。Village Vanguardでのライブ盤。昼間なのでちょいと大きめの音で聴いてみた。
そういえばこれって90年発売でしたが、その前年にメル・ルイスの最後となった来日ツアーがあり、仕事が終わってから、金沢大Modern Jazz Society出のHさん、阪大New Wave出のTさんと3人で横浜「Bird」に観に行ったんですわ。その日はちょっと僕ら以外は客層が違うという感じで、演奏のすごさに「イエー」とか「ウオー」とか拍手と声を飛ばしているのは僕ら3人だけでした。最後もこれは良かったと、「アンコール」と絶叫しながら一生懸命アンコールの拍手をしてるのはやはりこの3人だけだったたんですが、なんとバンドはステージに戻ってきて、メル・ルイスが「昨日まで東京のブルーノートで演奏してたんやんけど横浜の客のほうが素晴らしい!ホンマおおきに!」とコメントしてアンコール曲に突入。僕ら3人は感激しまくった、という思い出があります。なのに、年明けにメル・ルイスは他界してしまいがっかりしてたんですね。
そんなある日、仕事中に見てた某専門誌の発売予告欄のページで見つけて、当時久米ビルの隣にあったレコード店に思わず予約しに行って買ったのがこのアルバムでした。もう買って正解でした。「Soft lights and sweet music」「It could happen to you」といったスタンダードからショーターの「Lester left town」Kenny Wernerの「Compensation」などなど全て曲よし、アレンジよし、演奏よし、ソロよし、と名盤です。60~70年代のビートの感覚をベースにこんな高度なアレンジとコンテンポラリーなサウンドで聴かせてくれるビッグ・バンドってもう無いですよね。ほんと今考えてもビッグ・バンド界の宝でした。
ところで私が加入してるハイライトではこのアルバム9曲の中から5曲演奏したんですね。今は名曲「Compensation」を再度採りあげてやってます。それにしてもこのソロ、難しいんですわ。でも、このホンチャンでは、ロバーノ先生が語り、紡いで彼の「償い」をたっぷり聴かせてくれます。素晴らしいの一言です。

2007/03/01

Up In Smoke!









Ian Hendrickson Smith/Up In Smoke!(Sharp Nine)
Ian Hendrickson-Smith(as),David Hazeltine(p),Barak Mori(b),Joe Strasser(ds)
2002年録音。けっこう知る人ぞ知るアルト吹きというIan Hendrickson Smithの「Smoke Jazz Club」でのライブを収録したデビュー盤。8曲目「Up In Smoke」ちゅうスロー・ブルースがカッコイイ!ベテランのような吹きっぷりですが、当時29歳だったそうな。キャノンボールとマクリーンを足して2で割ってアクをとったようなスタイルでブローしてくれます。
2で割ってというか、曲によってはマクリーンとクリソツみたいなところもありまして、6曲目の「I'll Close My Eyes」のテーマでの語り口やCやF音の微妙な音程の出し方はマクリーンそのものでんがな。
バックを務めるDavid Hazeltine狙いでこのCDを買う人も多いかもしれませんが、実際期待を裏切らない堅実プレイで、質の高いデビュー盤との評価にはHazeltineがけっこう貢献しとります。