2007/04/30

Mingus Ah Um









Charles Mingus/Mingus Ah Um(Columbia/CBS)LP
John Handy(as,cl,ts),Booker Ervin(ts),Shafi Hadi(ts),Willie Dennis(tb),Jimmy Knepper(tb),Horace Parlan(p),Charles Mingus(b),Dannie Richmond (ds)
59年録音。「Better Git Hit In Your Soul」「Fables Of Faubus」「Jelly Roll」「Boogie Stop Shuffle」「Self-Portrait In Three Colors」「Goodbye Pork Pie Hat」等、名曲が満載。
うーん、ダニー・リッチモンドって、バタバタしたタイコという気がずっとしてましたが、そんなことないですね。ミンガスが「こいつホンマ、ワシが聴いた中で最高やねん」と絶賛してたといいますが、めちゃタイトに決めながらドライブしまくってて、久々に聴いてすごいなぁ、と思いました。
ところで、このアルバムって、後年のミンガスの作品を聴きなれていると1曲1曲が短く、聴きやすいといえば聴きやすい。物足りないと思えばちょっと物足りないか。でもそれぞれコンパクトに仕上がっていても曲もアレンジも秀逸(4本のフロントのハモリがなんと分厚く聴こえることか!)。演奏も手抜きなしで密度は濃く、スリリングな展開に何回でも聴きたくなります。バンドのメンバーはミンガスに「ちゃうがな、そこ!」とか怒られたり殴られたりして猛練習したのかもしれませんが。。。

2007/04/29

Count Basie and Dizzy Gillespie The Gifted Ones









Count Basie and Dizzy Gillespie/The Gifted Ones(Polydor/Pablo)LP
Count Basie(p),Dizzy Gillespie(tp),Ray Brown(b),Mickey Roker(ds)
77年録音。ありそうでなかったベイシーとガレスピーの共演作。
ノーマン・グランツが仕組んだ巨匠同士の組み合わせですが、もうこれくらいの域に達すると、タイトル通り「天才たち」ですからね、ワシはカンザス・シティ仕込みのストライドピアノやさかい、とかワイはHipなビバッパーやったがな、とか関係なくて、自分の音を出せば自然と二人掛け合わせて世界が広がるちゅうことなんでしょうね。ベイシーもガレスピーも一音の空間がデカイというか、一言二言交わしていけばどんどんグルーヴしていくちゅう感じです。
グランツはこの二人の音世界を完全に私物化して楽しんでたんでしょうが、エラかったのはちゃんとLPにして発売したことでんな。

2007/04/28

Top Brass Featuring The 5 Trumpets









Top Brass Featuring The 5 Trumpets(SAVOY)LP
Joe Wilder(tp),Ernie Royal(tp),Idrees Sulieman(tp),Ray Copeland(tp),Donald Byrd(tp),Hank Jones(p),Wendell Marshall(b),Kenny Clarke(ds),Ernie Wilkins(arr,cond)
55年録音。ということで今日はラッパものです。Ernie Wilkinsのアレンジでベイシーやライオネル・ハンプトン、ウディ・ハーマンなどのバンドで鳴らした5人のラッパマンたちがお行儀良く、時にははしゃいで、それぞれの職人芸を披露しながら聴かせてくれます。やっぱりラッパのセクションものって、きらびやかというか、華がありますなぁ。
5人もキャンキャンとやかましいわ、とお嘆きの方はまずB面、ウイルキンス作「Top Brass」の後に続く、バラード・メドレーから聴いてみることをオススメします。5人がそれぞれのお気に入り曲でフィーチャーされて切々と唄いあげています。当時、一番若いDonald Byrdが23歳、残り4人は30歳前後と年齢ではそんなに変わらないのですが、それぞれスタイルとかバラードでのアプローチの違いがあって、それもまた興味深いです。私はErnie Royalの「Taking A Chance On Love」がエエかなぁ。

2007/04/27

Four Horns And A Lush Life









Frank Rosolino/Four Horns And A Lush Life(Toshiba EMI/BETHLEHEM)
Russ Garcia(cond),Frank Rosolino(tb),Herbie Harper(tb),Tommy Pederson(tb),Maynard Ferguson(tb),Dick Houlgate(bs),Marty Paich(p),Red Michell(b),Stan Levey(ds)
55年録音。Russ Garciaちゅうアレンジャーのオッチャンによる4トロンボーン企画盤。いわゆるウエスト・コーストのセンスもあって、こういうボントロのハモリってほんま聴いてて心地よいでんなー。こういうのにどこか心惹かれるちゅうのはチャリオにメチャクチャ上手いボントロ吹きの先輩がいてはった影響でしょうか。
アンサンブルものって、ラッパの集合はどうもやかましいし、サックス・ソリはどこかスケベな下心みえみえのようで、それにひきかえボントロの和音は真面目でパワフルでそれでいて美しい響きで心が和むような気がする、というと言いすぎか。ま、よろしいがな、私の偏見やね。
1曲目の「I'll Never Forget What's Her Name」、5曲目コール・ポーターの「Just One Of Those Things」、6曲目「Zigeuner」、LPだとB面にあたる7~9曲目の「Limehouse Blues」、「Lush Life」「Lover Come Back To Me」あたりが好きです。心躍ります。

2007/04/26

Flight To Jordan









Duke Jordan/Flight To Jordan (Toshiba EMI/Blue Note)
Duke Jordan(p),Dizzy Reece(tp),Stanley,Turrentine(ts),Reggie Workman(b),Art Taylor (ds)
60年録音。チャーリー・パーカーのバンドで注目を集め、50年代前半はスタン・ゲッツなんかのバンドにいたりしたのに、ソロではあまりパッとせず、このアルバムを残してデューク・ジョーダンは何故かBlueNoteから去ってしまう。この後は「Charlie Parker Record」に何枚か吹き込んだ後、73年まで録音なしやったようです。どうも仕事がなくて、食べるためにタクシーの運転手をやったりしてたという話です。
この置き土産的なアルバム、全曲ジョーダンのオリジナルでタイトル曲や「Starbrite」「Deacon Joe」など佳曲が並んでます。ラストの「Si-Joya」は「危険な関係のブルース」として超有名やけど、実はジョーダンのオリジナルやったそうです。著作権では泣かされて、本人に印税は入らんかったらしい。「これはワシの曲じゃい!」との主張に、「ホンマ、大将、エエ曲書くで!」とタレンタイン、ディジー・リーズが好演。
もっとも、私としては世間的には哀愁のピアノとか言われてるジョーダンのプレイより、全編イイ曲にノッてタレンタインやリースが朗々と歌うところにこのアルバムの魅力を感じてたりしてます。

2007/04/25

Pao









Eugene Pao&Mads Vinding Trio/Pao(Stunt)
Eugene Pao(g),Olivier Antunes(p),Mads Vinding(b),Alex Riel(ds)
01年録音。 発売された頃、池袋のHMVでたまたま見つけ、ジャケットみたら「Witch Hunt」「Recordame」「Infant Eyes」「Bud Powell」等々、気になる曲目が並んでたし、この頃、HMV池袋の推薦盤は結構私の趣味とあってたので「よっしゃ」と思いEugene Paoってよく知らんまま買ったのでした。(最近は渡辺香津美との共演もあって日本でもかなり名も売れているようです、というか前から売れてたのを私が知らんかっただけかもしれません。)
そのギター・プレイは、ハッタリかますとか、ド派手にぶちかますで、とかそういうのとは全く無縁のようで、趣味がいいというか、悪く言えば結構地味な印象はぬぐえないのですが、フレーズのひとつひとつはとっても美味しく温かでメロディを大切にして組み立てていく、聴くほどに味が出てくるタイプです。
「All Of You 」「Alice In Wonderland」 「Dolphin Dance」等、曲の半分はアコギを弾いてるんですが、どの曲も思わずコピーしたくなるぐらいです。(ちゅうても悲しいかな、私ギター弾かれへんがな。。。)
そうそう、Mads Vinding Trioで弾いてるピアノはイイ人が多いですが、このOlivier Antunesも若いのに素晴らしいプレイです。このピアノを聴いて、このアルバム買って得したと思ってる人は多いかもしれません。

2007/04/22

Mingus Big Band Live In Time









Mingus Big Band/Live In Time(Koch/Dreyfus)
Steve Slagle(ss,as,fl),Seamus Blake(ss,ts),Gary Bartz(as),John Stubblefield(ts,fl),Mark Shim(ts,cl),Ronnie Cuber(bs),Gary Smulyan(bs),Randy Brecker(tp),Philip Harber(tp),Ryan Kisor(tp),Alex Sipiagin(tp),Earl Gardner(tp),Ku-Umba Frank Lacy(tb),Robin Eubanks(tb),Britt Woodman(tb), Conrad Herwig(tb),Dave Taylor(tb),Kenny Drew, Jr.(p),John Hicks(p),Andy McKee(b),Adam Cruz(ds),Tommy Campbell(ds),Sue Mingus(prod)
97年録音。「The Fez Under Time Cafe」でのライブ盤。91年から04年まで木曜はこの店でライブをずっとやってたそうです。このバンド、基本は14人編成らしいのですが、メンバーのスケジュールがつかないことも多々あって40人ぐらいがリザーブ・メンバーになってるらしい。このアルバムも3晩の演奏を収録したものらしく、メンバーも日によって入れ替わり立ち代りやったようです。
実はハイライトが渋谷で練習してた頃なんで、94年頃か、渋谷のタワレコのJAZZコーナーで当時発売された「Nostalgia In Times Square」とかが強力プッシュされてました。当時は「Mingus Big Band」には食わず嫌いで見向きもしなかったんやけど、2年前(05年)の6月、ハイライトで関内「FarOut」に出たときに、この「Live In Time」がステージの合間にガンガンにかかってたのに衝撃を受けて思わず買ってしまったんですね。何がって、Ronnie Cuberがフィーチャーされてバリサクをブリブリ吹きまくる「Moanin' Mambo」に圧倒されたわけです。その他「Boogie Stop Shuffle」「Sue's Changes」「So Long Eric」とおなじみの曲が採り上げられてまして、全15曲、これまた、2枚組で長時間ものですが、あっという間に聴けます。
ほとんどの曲のアレンジはSy Johnsonちゅう人が手がけてますが、ミンガスがいかに優れた作曲家やったかというのがとてもよくわかります。それにしてもミンガスの曲をこないに楽しげに自由に豪快に吹きまくるビッグバンドってすごいですわ。テナーではJohn Stubblefieldもいいけど、Seamus Blakeちゅう人のプレイが実に素晴らしい。
ところで、ここでタイコを叩いているTommy Campbellは今日本で住んでるらしい。先日、ベース弾きのイガくんがとある六本木のスタジオで独学でタイコの練習をしてたら、いきなり部屋にTommy Campbellが乱入してきて知り合いになってしまい、それ以来Tommyにタイコのレッスンを受けているそうです。

Bemsha Swing









Woody Shaw/Bemsha Swing(Capitol Records/Blue Note)
Woody Shaw(tp),Geri Allen(p),Robert Hurst(b),Roy Brooks(ds)
86年録音。このアルバムは97年に発売されたいわゆる発掘モノ、2枚組です。
70年後半から破竹の勢いで「Rosewood」など素晴らしいプレイを収めたアルバムを発表してきたのに、82年にEnyaで「Lotus Flower」を吹き込んでからスタジオ制作のリーダー・アルバムはなくなり、レギュラー・グループもその後解散となったようです。これはデトロイトの「Baker's Keyboard Lounge」ちゅうクラブでのライブ盤ですが、このバンドもパーマネントなものではなかったようで、ジャム・セッション風の演奏が収録されてます。
ウディ・ショウって89年に亡くなるまでの数年間は健康状態もプレイ内容も必ずしも良いとは言えなかったといわれてますが、モンクの「Bemsha Swing」「Well You Needn't」「Nutty」、オリジナルの名曲「In a Capricornian Way」「United」あたりでは、リラックスした中で抜群の集中力とホットなフレイズも聴かれ、結構この日は調子良かったようです。
ちょっと調べてみたところ、この前の年にGeri Allenってソロ・ピアノのアルバムでオリジナルの曲に混ぜて「Bemsha Swing」「Round Midnight」と2曲モンクのナンバーをとり上げてます。この頃、Geri Allenはモンク好きでレパートリーに何曲か入れてたんでしょうね。
ウディ・ショウに「おう、なに演る?あんたの好きな曲、ワシ、なんでもやったるで」とか言われて「あっ、あの、モンクの曲とかどうでしょうか?」なんて、ジェリ・アレンが返事したりして。「ほほう、ええやん、ほな演ろか」てな感じであの3曲をやったんでしょうか。そこにRoy Brooksがすかさず、「オレの作った「Theloniously Speaking」ってどない?」なんて突っ込んだりして、なんとなくモンクでテーマ感のあるステージになったりして、と勝手に想像したりしてます。

Prayer









北川潔/Prayer(Atelier Sawano)
北川潔(b),Kenny Barron(p),Brian Blade(ds)
05年録音。NYで活躍するベーシストといえば、もうこの方の右に出る人はいないでしょうな。
澤野工房からの第二弾、ここでも北川さんのベースに操られて、Kenny Barron、Brian Bladeが素晴らしいプレイを展開して北川ベース・トリオのサウンドを紡ぎ出してます。
1曲目のブルース「Guess What」からもうノック・アウトです。ラス2の「Lonely Woman」ではすっかりのめり込んでいる自分に気がつきます。何回聴いても、「こんなん聴きたかったんや」という満足感が充足されるという超強力盤ですね。
Kenny BarronもBrian Bladeも、ご存知、当代きっての超一流のミュージシャンですが、そのポテンシャルをグイと引き出して自分の音楽に仕立て上げるという北川さんのベース・プレイはホンマ恐ろしいぐらいで、しかも肩の力も抜けた自然体でここまでやれるか、ということに驚嘆するばかりです。
5月、6月は江藤 良人(dr), 三木 俊彦(as)を従えた北川さんのベース・トリオ、待望の日本ツアーが待ってます。今回も楽しみでんなー。ぜひ観に行かないと!スケジュールは下記の通りとか。北川さんのサイトでちゃんと確認してね。

Kiyoshi Kitagawa Bass Trio
Japan Tour May.29~June.11
Toshihiko Miki(as),Yoshihito Eto(ds)

<5月>

29(tue)~30(wed)
"Body & Soul" trio w/Shinji Akita(p)
Minami-Aoyama,Tokyo
tel:03-5466-3348

31(thu)
"Birdland"
Kita-Senju, Tokyo
tel:03-3888-1130

<6月>

2(sat)~3(sun)
"Pit Inn"
Shinjuku, Tokyo
tel:03-3354-2024

4(mon)
"ケルン"
Fuji, Shizuoka
tel:0545-52-0468

5(tue)
"Jazz Inn Lovely"
Nagoya, Aichi
tel:052-951-6085

6(wed)
"もっきりや"
Kanazawa, Ishikawa
tel:0762-31-0096

7(thu)
"浪切ホール"
Kishiwada, Osaka
tel:072-439-4915

9(sat)
"Corner Pocket"
Nishinomiya, Hyogo
tel:0798-64-5402

11(mon)"通天閣"
Osaka
tel:澤野工房06-6641-5023

2007/04/21

ROUTE 80









Teruo Nakamura/ROUTE 80(Canyon/AGHARTA)LP
Teruo Nakamura(b),Brian Brake(ds),Jay Byalick(key),Harry Whitaker(key),Mark Gray(key),Steve Grossman(ss,ts),Bob Mintzer(ts,fl,b-cl),Kinny Landrum(key),Bill Washer(g),Jimmy Ponder(g),Chuggy Carter(perc),and others
81年発売。引き続き、中村照夫でお楽しみいただいております。もちろん、かみさんに。
初めて聴いたのはOut Putでやったんですが、これを聴いて、誰やったかなぁ、常連のお客さんが褒めまくってたのを覚えてます。
特にグロスマンの歌心にはグッときますなぁ。ミンツアもB面ラストの「Thinking Of You」でカッコいいソロ聴かせてくれます。こうして聴くと、中村照夫ってやはりプロデュース・ワークが素晴らしいんでしょうね。「カーネギー・ホール」「Big Apple」を経て、一段と洗練されて完成度の高くなったスタジオ盤。文句なしです。

Rising Sun Band At Carnegie Hall









Teruo Nakamura/Rising Sun Band At Carnegie Hall(Canyon/AGHARTA)LP
Teruo Nakamura(b),Ronnie Burrage(ds),Mark Gray(key),Steve Grossman(ss,ts),Bob Mintzer(ts),Kinny Landrum(key),Bill Washer(g),Randy Brecker(flh,tp) and otehrs
79年録音。二夜連続で、中村照夫をお楽しみいただいております。誰に?いや、かみさんに。
カーネギー・ホールでワンマン・ライブというのは邦人ジャズ・プレイヤーとしては初の出来事やったそうです。3000人ぐらい入るらしいですからね。すごい人気やったちゅうことなんでしょうか。
バンドの音はライブということで、かなりラフな面もあります。A面2曲目の「Rising Sun」ではなんとユニゾンが全くあってない。でもグロスマンもミンツアも生きのいいソロを聴かせてくれます。昔、学生会館のバルコニーでアッシ君のウオークマンでこれを聴いたときは鳥肌モノで妙に興奮したものでした。
今聴いても、特にラストの12分に及ぶ「Steppin With Lord」、中村照夫の一世一代の大舞台での汗と涙(別に流してなかったと思いますが)に共鳴したといわんばかりの気持ちの入ったソロの連続で、これは泣かせてくれます。
残念なのは、私のLPのプレスの分だけでしょうか、このレコード、妙に音が薄いのです。。。でも中村照夫の骨太で地面の奥から響いてくるような感じのプレイは充分伝わってきます。

Rising Sun









Teruo Nakamura/Rising Sun(Polydor/Kitty)
Teruo Nakamura(b),Shiro Mori(g),Art Gore(ds),Keiji Kishida(ds),Bob Neloms(key),Harry Whitaker(key),Onaje Allan Gumbs(key),Lonnie Smith(synth),Steve Grossman(ts,ss),Carter Jefferson(ss),and others
76年録音。えーい、「Rising Sun Bnad」攻撃じゃ。
ということで、NY在住邦人ベース弾きによるリーダー作として初めてアメリカでリリースされたといわれるこのアルバム。さらには翌年77年に吹き込んだ「Manhattan Special」がFMで大ヒットしてオンエアされまくるという状況になったという。これだけ才能のあるミュージシャンを集めて、しっかりした内容のものをつくりあげるなんて並大抵のことではなかったでしょうね。それにしても随所に見られるグロスマンの張り切り方がすごい。
「Rising Sun」「Steppin With Lord」「Red Shoes」等、名曲揃いのこのアルバム、CD発売されてすぐ買っといてよかった~。

BIG APPLE









Teruo Nakamura Rising Sun Band/BIG APPLE(Canyon/AGHARTA)LP
Teruo Nakamura(b),Steve Gadd(ds),Buddy Williams(ds),Bill Washer(g),Barry Finnerty(g),Mark Gray(key),Jay Byalick(key),James Bonnefond(perc),Steve Grossman(ts,ss),Bob Mintzer(ts),and others
79年録音。「中村照夫ってうちにあるの?」とかみさん。ナカムラテルオですか、どないしましてん、急に。ええ、ありますとも、いろいろ。と、とりあえずこれのA面をかけてみた。いっとき、よく「OutPut」でかかってましたなぁ。1曲目は「Mr&Mrs.Funk」。「あら、フュージョンやね」と、かみさんニッコリ。お気にめしましたでしょうか。
うーん、それにしても今聴いてもカッコいい!ミンツアとグロスマンのテナー・ソロ、豪華2本立てちゅうのも今考えるとすごいことやねえ。次はグロスマンの伝説(?)の「Someother Blues」が入った「Unicorn」でもかけますか。

2007/04/20

Charisma









Lee Morgan/Charisma(Toshiba EMI/Blue Note)
Lee Morgan(tp),Jackie McLean(as),Hank Mobley(ts),Cedar Walton(p),Paul Chambers(b),Billy Higgins(ds)
66年録音。なんじゃい、このジャケット。と思ったら、録音されてからしばらくオクラだったとかで、アルフレッド・ライオンもリード・マイルスも引退した後の69年に発売なので、かってのBlue Noteらしいジャケットにはならんかったちゅうことです。
内容はというと、例のごとくオクラになってたのが不思議なくらいイイです。「Sidewinder」のヒットの呪縛(?)から逃れられないというか、流行に乗ってたというか、モーガンのオリジナル「Hey Chico」、デューク・ピアソンの「Sweet Honey Bee」あたりが聴きどころともいえますが、私としてはラスト2曲前、ちょっとキザなテーマのあと、なんの仕掛けもなくソロがホットに繰り広げらる「Murphy Man」にシビレました。
どの曲にもいえるのですが、モブレーとともにジャッキー・マクリーンが伸びやかにカッコいいソロを聴かせてくれるのが驚きでもあり、実にうれしい限りです。このへんはなんといっても、ポール・チェンバースがベース弾いているというのが大きいかもしれませんねー。

Dippin'









Hank Mobley/Dippin'(Toshiba EMI/BlueNote)
Hank Mobley(ts),Lee Morgan(tp),Harold Mabern(p),Lary Ridley(b),Billy Higgins(ds)
65年録音。1曲目「The Dip」、2曲目「Recard Bossa Nova」で完全に虜になってしまう、いわゆるJazz喫茶の人気盤。
「Recard Bossa Nova」はボサとロックの掛け合わせみたいで、今聴いても妙にグルーヴしまくってる。しかもわかりやすいカッコよさが気持ちいいです。 昔、これをコーナー・ポケットで初めて聴いたときは「こんなん、どこがエエねん?」といぶかったものですが、謹んでここに訂正させていただきます。はい。
意外とりー・モーガンもモブレーも熱いプレイやし、ちょいメッセンジャーズのシダー・ウオルトンぽいハロルド・メイバーンのピアノのおかげで、他の曲でも「ファンキーやな」の一言では収まらない(モブレーとしては)少しチャレンジャブルで60年半ば的なサウンドというか時代の熱い息吹みたいなものが感じられて、とても楽しめます。
LPではB面のまん中になるバラード「I See Your Face Before Me」で、いつもの感じでモソモソと、でもどこか逞しく吹くモブレーのプレイも美しいでんな。とても充実したアルバムとして聴けるのは、このへんの曲の取り合わせの妙もあるかもしれませんね。

2007/04/19

Clifford Brown&Max Roach









Clifford Brown&Max Roach(Victor Entertainment/Universal Classics&Jazz/Emarcy)
Clifford Brown(tp),Max Roach(ds),Harold Land(ts),Richie Powell(p),George Morrow(b)
54年録音。「おう、ホンマ、いっしょにやろーや」とマックス・ローチに誘われてブラウニーが入ったバンドのスタジオ録音の記念すべき第一作。
クリフォード・ブラウンのディスコグラフィーを調べてみると、この年、8月2日から14日までの間に7回もセッションが組まれて録音が行われていて、このアルバムや「The Immortal」「Brown And Roach Incorporated」「Jam Session」「Dinah Jams Featuring Dinah Washington」等々に収録されて世に出ています。どれも名盤ちゅうのも驚くばかりです。クリフォード・ブラウン、ハードバップ街道を驀進中、ぐらいの勢いを感じさせてくれます。このアルバムも曲は傑作、ソロも傑作、しかもバンドの音としても変な気負いも全く無く、さわやかでしかもホットな出来栄えと申し分なく、当時としては出来立てのホヤホヤながら、すでに最先端・最高峰を行くバンドやったちゅうことやろね。
しかし、「Daahoud」「Joy Spring」「Jordu」あたりを聴くと絶好調のブラウニーのソロが、「あっ、コマサ・フレーズを連発しとる」とつい思ってしまうんやけど、いかんいかん、そりゃ逆やがな、と一人で笑ってしまうのが困りものです。

2007/04/18

Surf Ride









Art Pepper/Surf Ride(Nippon Columbia/SAVOY)
Art Pepper (as) ,Russ Freeman(p),Bob Whitlock(b),Bobby White(ds),Hampton Hawes(p),Joe Mondragon(b),Larry Bunker(ds) Jack Montrose(ts),Claude Williamson(p),Monty Budwig(b),Larry Bunker(ds)
52-54年録音。前半3曲が53年録音、次の3曲が52年、後半6曲(LPだとB面)が54年録音。
どこでラリッててどこが素面なのかさっぱり見当がつかへんけど、どう聴いても「Straight Life」以降、54年の録音の6曲はペッパーのほとばしるエネルギー感とドライブ感が異常にすごい。音の発し方からしてまるで違う。「どんなに早いテンポで吹いてもすさまじい集中力で、音色もソロの内容も破綻することが全くない天才アルト吹き」、というふうにこの頃のペッパーを賞賛してた人がいたが、これを聴くとほんま、その通りやと思う。「Surf Ride」ちゅうアルバム・タイトルは6曲目に収録されてる曲のタイトルから採られてるけど、波に乗ってノリノリやがな、ちゅうのはこの6曲にこそふさわしいかもしれません。
ただ、この後何年かして、麻薬でペッパーの演奏活動も人生も一度破綻することになるんやけど、まさにその破滅に向かう美しさの輝きがここに始まった、とかいうと感傷的でドラマ仕立ての表現になるけど、そうとしか思えませんなぁ。アート・ペッパー好きは根がヘンタイ説というのは、知らず知らずこのへんに魅かれてることを見抜かれてるからかもしれませんね。
それにしても、話変わるけどこのジャケットはもっと他になんかなかったんでしょうか。。。もういい加減慣れてきたんで、これでエエか、と許せるようになってはきましたけど。

2007/04/16

Thad Jones&Mel Lewis Live At The Village Vanguard









Thad Jones&Mel Lewis/Live At The Village Vanguard(United Artists/Solid State)LP
Thad Jones(flh),Mel Lewis(ds)
sax;Jerome Richardson,Jerry Dodgion,Joe Farrell,Eddie Daniels,Pepper Adams
tp;Snooky Young,Jimmy Nottingham,Marvin Stamm,Richard Williams,Bill Berry
tb;Bobby Brookmeyer,Garnett Brown,Tom McIntosh,Cliff Heather
Sam Herman(g),Roland Hanna(p),Richard Davis(b)
67年録音。昨日4月15日、軽音OB会が東京で初開催されました。二次会まで含めて9時間新宿に滞在してました。楽しくて、もう、あっという間に時が過ぎたという感じです。二次会は居酒屋の小部屋で昔の現役の頃のチャリオの音源を聴きながらこれまた大盛り上り。
この二次会のメンバー私がC年のときのE年、F年のチャリオの先輩が中心やったんですが、私にしてみれば神様に囲まれて恐れおののきながらも夢心地という感じの懐かしいポジションですね。あの頃はとてもいい時代でした。
そんな思いをというか余韻を楽しみながらなんか聴くとなったら、このサド・メルのレコードしかないですな。フルバンの名盤中の名盤。他の学生バンドでも同じやろけど、チャリオでも思い出の曲ばかりです。
ところで、ソニー・レスターが後年、別に監修して発売したビレ・バンのCDを聴いて判明したことがあります。なんと元テイクでは「Little Pixie II」のオーラスのテーマでリード・アルトがこけてメロが聴こえてこないんですね。それを別テイクで切り張りして修復したようです。このオリジナルのLPで4小節のドラム・ソロのあとからケツまで急にテンポが速くなってるのはそのせいやったんかというのが合点がいった半面、ショックでした。おまけにローランド・ハナやガーネット・ブラウンのソロに至っては一部カットされてつなぎ合わされてたんですね。このオリジナルのLPで聴くと、ソロは完璧の出来栄えなんですが、カットされた部分があったとは、どうしようもなく複雑な気持ちになりました。
いやいや、それを飲み込んでも、ソロもアンサンブルも完璧のこの名盤、学生の時に買ったものですが、当時すでにどこのレコード屋にもこのLPは並んでなくて、たまたま寄った梅田のLPコーナーで買えたのはとてもラッキーでした。でもジャケットが切られてるいわゆるカットアウト盤でしたが。。。なんか因縁でしょうか。

2007/04/11

Paris Blues









Gil Evans Steve Lacy/Paris Blues(Victor Entertainment/Universal Classics & Jazz/Universal MUsic S.A.France)
Gil Evans(p,el-p), Steve Lacy(ss)
87年録音。ギル・エバンスが亡くなる3ヶ月前に録音されたもので、盟友の一人、スティーブ・レイシーとのデュオによる、生涯最後のレコーディングといわれています。
ギルのお気に入りのミンガスの曲、「Reincarnation Of A Lovebird」、「Orange Was The Color Of Her Dress Then Blue Silk」「Goodbye Pork-Pie Hat」、オリジナルの「Jerry Roll」、D音のチューニング?で始まるレイシーの「Esteem」、どれも静かに、時にスリリングに激情を交歓しながら、やはりもの静かに、いろいろなものが語られていくといった趣きで曲が進んでいきます。
ずっとオーケストラを率いてきたギルって、ピアニストとしての評価はあまり聞いたことがないような気がします。めちゃくちゃグルーブしまくるとか、超絶技巧とか、そういう一般的な美辞麗句とはかなり遠い位置にいるピアノですが、どう聴いても、ギル・エバンス・オーケストラのサウンドが聴こえてくるという不思議な感覚にとらわれます。特にエレピではそうですね。。。。単なる私の偏見?エリントン・ナンバーの「Paris Blues」ですら、ギル・エバンスのオリジナルかと勘違いしそうなくらいです。
エリントンもソロ・ピアノであろうとフルバンドであろうと関係なくエリントンの音楽そのものを放出してましたが、偉大なるオーケストラのリーダーってなそういうもんなんでしょうか。
このレコーディングが行われた87年の11月30日と12月1日って、残ってた手帳を見ると、私、営業に出て京都、奈良、大阪方面をグルグル回ってました。たぶん、遅くまで残業してたはずです。こんな歴史的な日やったのにね。

2007/04/08

Danish Radio Jazz Orchestra Plays Ellington









Danish Radio Jazz Orchestra/Plays Ellington(Storyville)
Niels Jorgen Steen(cond,arr)
99年録音。エリントン生誕100周年の年、世界のあちこちでトリビュート・コンサートが開催されてたと思います。これはそのうちのひとつ、「Danish Radio Jazz Orchestra」による、ベン・ウェブスターなどエリントニアンとゆかりの深いコペンハーゲンは「Jazzhouse」でのライブ盤。
「The Governor」はNiels Jorgen Steen作曲の19分に及ぶエリントンに捧げた曲がそのままタイトルになったもので、その他「in A Mellow Tone」「Prelude To AKiss」「Blue Rose」「Perdido」「Mood Indigo」など全12曲を収録。曲のほとんどは客演指揮者のNiels Jorgen Steenやメンバーのアレンジによるものですが、「in A Mellow Tone」はフランク・フォスターのアレンジやし、「Prelude To AKiss」あたりはエリントン・バンドのアレンジのままやってます。これらの曲はもう、素晴らしすぎてこれ以上やりようがない、ということなんでしょうね。
アルバムとして出来は、それを言っちゃおしめーよ的に言うと、まぁ、イベントものにありがちなというか、ちょっと荒さも目立つかな、てなところです。畏敬の念を持ってエリントンに捧げるとなると、ヨーロッパでも屈指のバンドである彼らもどこかアマチュアぽい香りがしてしまうちゅうのも、逆に愛情の裏返しみたいで微笑ましいところかもしれません。

2007/04/05

Dedication!









Duke Pearson/Dedication!(Fantasy/Prestige)
Duke Pearson(p),Freddie Hubbard(tp),Pepper Adams(bs),Willie Wilson(tb),Thomas Howard(b),Lex Humphries(ds)
61年録音。フラナガンの「Minor Mishap」、ドナルド・バードの「LEX」あたりではホットなハード・バップが聴けてなかなか美味しい気分が味わえます。当時日の出の勢いやったフレディ・ハバードもハツラツとしたプレイですが、しかしなんといっても不気味な存在感というか、怪演を聴かせるのがバリサクのペッパー・アダムスでんな。とことん、マイ・ペースというか、妙にハイテンションでうねうねとした豪快な唄いっぷりに思わず嬉しくなって笑ってしまいます。
ところで、これって、「jazzline」ちゅうレーベルに吹き込まれたセッションですが、当時陽の目をみず、やっと70年になって発売されたようで、私が昔買ったTrioから出てたLPは「Freddie Hubbard/NO.5」ちゅうタイトルがついてました。このCDはDuke Pearson名義やし、たしかに一聴すると、誰のリーダー作かというのが希薄な印象で、内容的にはデューク・ピアソン主催のユルいセッションもの、という感じもします。
実際はデューク・ピアソンが裏方にまわってボントロのウイリー・ウイルソンをフィーチャーした、ウイルソンのリーダ作、という位置づけが正しいようです。なんで、「The nearness of you」「Time after time」とバラード2曲でボントロ・フィーチャーなんやろ、と思ってましたが、そういうことなんですね。すみません。でも当時無名ながら将来を嘱望されてたというウイルソンはこのセッションから2年後、ほとんど録音を残さないまま急逝してしまいます。残念なことです。
発売のオクラ入りとそんなことがあって、この作品はマニアの間ではいわゆる幻の名盤の1枚と謳われてたようです。うーむ。ジャズやねぇ。

2007/04/04

The Truth Vol.2









Frank Mccomb/The Truth Vol.2 aka Motown Sessions(BMG JAPAN/P-Vine/Malibu Sessions)
Frank Mccomb(vo,key),Harvey Mason(ds),Sekou Bunch(b),Doc Powell(g),Paulinho da Coasta(perc),Billy Preston(org),Tony Maden(g),BranfordMarsalis(ss),Steve Harvey(ds,pec,key) and others
95年頃の制作とか。オフィシャル・サイトでかみさんが「Straight From The Vault」ちゅうアルバムを買ったらサイン入りの生写真(ブロマイドか)付やったちゅうFrank Mccombが、そうそうたるメンバーをバックにMotownのMo'Jazzレーベルに吹き込んだもののおクラにされたセッションを収録。Steve Harveyが原盤権を買い取って発売してるので違法ではないらしいが、生写真どころやない、いろいろいわく付きで、マッコム自身はこのCDも非公認とのことです。
でも、音楽はそこから一人歩きしてて、実に素晴らしい唄声が堪能できます。スティービー・ワンダー、ダニー・ハザウェイを思わせる、というのはあちこちで言われてますが、確かにこのへんが好きな人にはこたえられん音創りです。今日も聴いてて単なるイミテイションやないMccombこだわりのメロウなサウンドに、頭の中でドーパミンが溢れてくる感じです。目下、頑な信念からオリジナルCD(CD-R)をオフィシャル・サイトで手売りしているそうやけど、ある意味、汚されてほしくないという思いです。

2007/04/03

Sarah Vaughan with Michel Legran









Sarah Vaughan/Orchestra Arranged And Conducted By Michel Legran(Sony Music/Mainstream)
Sarah Vaughan(vo),Michel Legran(arr,cond),David Grusin(key),Ray Bronw(b),Chuck Rainey(b),Shelly Manne(ds),Larry Banker(perc),Bud Shunk(as),and others
72年録音。マーキュリーから離れたサラが70年代に入り契約したメインストリームでの第二弾アルバム。巨匠ミシェル・ルグランが総勢104名からなる大オーケストラを編成。クレジットを見ると、デイブ・グルーシンがピアノ弾いてたり、レイ・ブラウンがベース弾いてたり、バド・シャンクやジェローム・リチャードソン、ボブ・クーパーがサックス吹いて、シェリー・マンがタイコ叩いてたり、と超豪華メンバー。
この超デラックスなオーケストラをバックにルグランのオリジナルに英語詩をつけた曲をサラが巧みに、美意識に満ちた表現力で唄いきるという優れた内容になっとります。1曲目「The summer knows」2曲目「What are you doing the rest of your life?」ですでにその唄声に引き込まれてしまいますね~。
曲はルグランの有名な曲ばっかりなんでしょうが、せっかくやねんから、なんちゅうか、もっとキャッチーなというか、つかみ、そうそう、つかみやね。寝るときのマイ枕みたいなやつ。個人的にはそれが欲しかったでんなぁ。