2007/05/22

Stormy with luv.









Salena Jones/Stormy with luv.(Victor Entertainment/JVC)
Salena Jones(vo),Paul Mattews(key),Shigeru Inoue(ds),Kiyoshi Tanaka(ds),Yuichi Tokashiki(ds),Yasushi Ichihara(ds),Kenji Takamizu(b),Isao Etoh(b),Akira Okazawa(b),Tsunehide Matsuki(g),Larry Sunaga(perc),Naomi Kawahara(perc),Tadaomi Anai(perc)
79年録音。99年のいつ頃やったかなぁ、事務所でFMから流れた「All In Love Is Fair」をどうしても、もう一度聴きたいという気分になって、近くの恵比寿の駅ビルの新星堂に買いに行ったCDです。仕事中にも関わらずですね。。。今聴くと、そんな名演中の名演ちゅうわけやないのにね。
アルバム全体に漂うどこか懐かしいサウンド、と思えたのはビリー・ジョエルやキャロル・キングの名曲をやっているからということやなくて、バックを務めるミュージシャンがピアノのポール・マシューズを除いて全員、松木恒秀、高水健司、渡嘉敷祐一等々の日本の一流ミュージシャンやったからということもあるようです。
「好きなん、唄っておくれやす」というオファーに、サリナ・ジョーンズはお気に入りで唄い慣れたレパートリーから選曲したそうです。制作側としては日本人ウケを意識したのは間違いないでしょうが、でも、たまに聴くと、とてもリラックスして心休まるアルバムですなぁ。分かりやすさ、シンプルなことって、やはり大事やね。

2007/05/20

True Blue









Tina Brooks/True Blue(Toshiba EMI/BlueNote)
Tina Brooks(ts),Freddie Hubbard(tp),Duke Jordan(p),Sam Jones(b),Art Taylor(ds)
60年録音。10年以上前、東芝EMIが「ブルーノート盤を番号順に全部CD化して発売しまっせ!」という企画でジャズ・ファンが拍手喝采を送ってた頃に、幻の名盤と言われてた「Back To The Tracks」と一緒に買ったCD。でもTina Brooksのテナーってあまり好きになれず、アルフレッド・ライオンやないけどCDラックでオクラ状態になってました。
久しぶりに聴いて、おお、意外とハード・バップの出来でサム・ジョーンズのベース、アート・テイラーのタイコに乗せられて思わず惹き込まれました。なんというかその、客人のフレディー・ハバードの方がハツラツとしてブリリアントなプレイで、ラッパが主人公かいなと思ってしまいます。でもティナ・ブルックスの音も華がないといえばそうやねんけど、これはライブとかで出くわしたら、ノリノリでかけ声連発しそうになるタイプかも。曲も6曲中5曲はブルックス作ちゅうことで、頑張ってます。
ところで、翌年61年の春以降ブルックスのレコーディングはなく、その後仕事もないような状態で74年には短い人生を閉じてしまったようです。ファンはブルックスが残した数少ない作品の中で、秀逸なジャケット・デザインのアルバムに収められたちょいと押しの弱いアーシーなトーンで印象的なマイナーのメロディ・ラインを愛でながら、少し時を止めてひと時の悦びに浸るちゅうわけです。

2007/05/19

Lush Life









John Coltrane/Lush Life(Fantsy/Prestige)LP
John Coltrane(ts),Donald Byrd(tp),Red Garland(p),Paul Chambers(b),Louis Hayes(ds),Albert "Tootie" Heath(ds),Earl May(b),Art Taylor(ds)
57/58年録音。「I Hear A Rhapsody」がガーランド、チェンバース、アル・ヒースを従えて57年3月、A面3曲(「Trane's Slow Blues」「Like Someone In Love」「I Love You」がアール・メイ、アート・テイラーとのトリオで57年8月、タイトル・チューン「Lush Life」がドナルド・バード、ガーランド、チェンバース、ヘイズのクインテットで58年1月録音、と3つのセッションを1枚にまとめたアルバム。
この頃のコルトレーンは「Monk's Music」をはじめとしたモンクとのセッション、レッド・ガーランド、マル・ウオルドロンなどのリーダー作にそれぞれ何枚かずつ参加し、Prestigeで何枚もの自己名義のセッションに加えて9月にブルーノートでの「BLue Train」を吹き込み、と大忙しで57年だけで30数枚のレコードに名前を残しています。ちなみに58年2月にはマイルス・バンドで「Milestone」を吹き込んでます。
やはり、「Blue Train」を経て一番吹き込みが後の「Lush Life」での音色のふくらみやフレージング、呼吸の置き方等々に素晴らしいものがあります。その後に続く「I Hear A Rhapsody」を聴くと、えっ、1曲前の「Lush Life」吹いた人かいなと戸惑ってしまうぐらいです。てなことで、この1枚でも飛躍的に大前進するコルトレーンを聴けてとても興味深いちゅう話になってますます美味しいわけです。

2007/05/15

Supertrios









McCoy Tyner/Supertrios(Vicotr Musical Industries/Milestone)LP
McCoy Tyner (p),Ron Carter(b),Tony Williams(ds),Eddie Gomez(b),Jack DeJohnette(ds)
77年録音。1枚目がロン・カーター、トニー・ウイリアムスとのトリオで4月9・10日の録音、2枚目がエディー・ゴメス、ジャック・ディジョネットとのトリオで同月11・12日の録音。まさに、スーパー・トリオで、これを4日間続けてマッコイにこれだけ演奏させるというオリンキープニュースの手腕もスゴイでんな。
トニーの猛烈というか爆発しまくるタイコとドライブしまくるロン・カーターのベースを相手に徹底的に戦いまくるマッコイの過激さで、アルバムの評判とか人気としては1枚目を推す声が多いのではないでしょうか。もう、すさまじい嵐がゴーゴーゴーと吹き荒れている様で、この図式、ある意味、分かりやすいもんね。
一方、若きゴメスとディジョネットと組んだ2枚目の方は、やはりマッコイとしては、この二人との組み合わせは異質な感じがしないでもないですが、本人的には使いやすいというのがあったのか、少し落ち着いた繊細な感じで、こちらのほうが、ピアノ・トリオとしての表現力は充実してるかもしれません。
まぁ、私見ですけど。とりあえず、このレコードはぜひ2枚目から聴いてほしいですね。できればB面のステラ、ラッシュ・ライフあたりから。ちゅうてもまずトゥモロー・ランドから行くか、アドベンチャー・ランドから行くか、そら人好き好きやからね。
ところで、同じ頃、というかこの録音から3ヶ月後の7月にCBSでのハンコックのリーダー作「The Herbie Hancock Trio」でもロンとトニーは演奏してます。こちらの方では大暴れすることがあっても予定調和的な感じがします。マイルス・バンドからV.S.O.P.までやりなれた3人の芸かもしれませんが、ハンコックの、ヤラシイほどの自身の音楽に関するプロデュースの力というか、そのへんも実に大きいと思います。その点、このアルバムのマッコイはピアノ抱えた渡り鳥というか、燃える男というか、正直ものというか、とてもスリリングです。

2007/05/13

My People









Joe Zawinul/My People(Hired Gun Marketing/Escapade Music)
Joe Zawinul(vo, key, programming),Richard Bona(vo,b),Bobby Malach(ts),Mike Mossman(tr,tb),Cheick Tidiane Seck(key),Gary Poulson(g),Amit Chatterjee(g),Osmane Kouyake(g),Matthew Garrison(b),Paco Sery(ds),Tal Bergmann(ds,perc),Alex Acuna(perc), Trilok Gurtu(perc),Bolot(vo,topshur),Arto Tuncboyaciyan (vo,perc),Salif Keita(vo), Thania Sanchez, Burhan Ocal (vo), and others
96年作品。録音は一部92年から行われていたらしい。で、96年のワールドミュージック部門のグラミー賞を受賞したとのこと。
これ発売された頃に買ってて、あんまり聴いてなかったもので、どんなんやったったけ?と今日なにげに聴きなおしたんですが、なんというか、私、どうも苦手。聴かなかったわけやね。Salif Keitaとの共演、Richard Bona、Gary Poulson、Paco Seryの登用と、この頃のザビヌルのバンドは話題豊富なんですけど。ヨーロッパ大陸からアジア、アフリカ方面と世界の人々の暮らしや生命を慈しみ叙述する、という主旨なのかもしれませんが、今の私の身体にはもひとつ馴染んでくれそうにないので、しばらくお預けです。。。タモリの空耳アワーに使えそうなネタがいっぱいありますけど。。。ううっ、このアルバム、好きな方、すみません。

Midnight Mood









Mark Murphy/Midnight Mood(Universal Music/Polydor/MPS)
Mark Murphy(vo),Jimmy Deuchar(tp),Ake Persson(tb),Derek Humble(ts),Ronnie Scott(ts),Sahib Shihab(bs,fl),Francy Boland(p),Jimmy Woode(b),Kenny Clake(ds)
67年録音。クラブの皆さんには伝説となってるらしいMark Murphyの代表作とか。何年か前にある方からサンプル盤をダンボール1箱頂いたことがあって、その中の1枚でんな。なんと、未開封のままでした。Tさん、すみません。
どれどれと、かけてみる。ケルンのスタジオでアルバムとラジオの録音をやってたクラーク=ボーラン・ビッグ・バンドからのピック・アップ・メンバーを従えて、軽く唄うマーフィーのセンスの良さに脱帽。1曲目の「Jump For Joy」は意表をついて唄のアカペラでスタート。これがまたカッコよろし。こんなところでもやってたJimmy Woodeの「Sconsorato」、「これなんて曲やったっけ?」と、かみさんもビビッと反応。いやぁ、印象的な美しい曲やね。スタンダードの「Alone Tgether」「My Ship」も交え、ラストは「I Get Along Without You Very Well」でしっとりと。こらホンマ夜中に聴くと最高やろなちゅうて、しもた、真昼に聴いてもたがな。

2007/05/12

Wild And Peaceful









Kool & The Gang/Wild And Peaceful(PolyGram/Mercury)
Robert "Kool" Bell(b),Claydes Smith(g),Dennis "D.T" Thomas(fl,as),Ronald "Khalis Bayyam" Bell(ss,ts),Robert Mickens(tp),Rick West (key),George Brown(ds,perc),and others
73年作品。「Funky Stuff」、「Jungle Boogie」、「Hollywood Swinging」などのヒットを連発、Kool & The Ganggがセールス的にブレイクした作品といわれてます。
私、当時、このアルバムを買ったりしてたわけではないのに、なぜか半分以上は曲を知っている、というか覚えているという不思議なものです。どちらかというと、アースよりはKool & The GangとかWARが好きやたのは確かです。やはり10代に聴いたものって、体に奥深く残ってるんでしょうか。
ノリノリの曲オンパレードに続き、ラストの「Wild And Peaceful」、メロディアスでありながら、こういうインストものをマジでやってた彼ら、やはりどっか、「In A Silent Way」とか、「Weather Report」あたりの音が好きで影響されてたのかも、と今になって思います。

2007/05/09

Bobby Lee Rodgers & The Codetalkers









Bobby Lee Rodgers & The Codetalkers/NOW(GreyDog'sRecords/Collard Green Records)
Bobby Lee Rodgers(vo,g),Ted Pecchio(b),Tyler Greenwell(ds)
06年作品。先日の4月25日に日本盤発売だったそうです。かみさんがDisk Unionの店頭試聴機でこのファンキーでブルージーな音を聴いてカッコいい!と強力プッシュ。で、なぜかRECOfanで購入。
で、家で聴いてびっくり。シンプルでタイトなバンドサウンドにけっこうキャッチーなメロ。テクもしっかり。ギターソロ、メチャ、カッコいい。どこか懐かしい香りがするのは、Bobby Lee Rodgersが1947年製ギブソンをレズりーのアンプに直つなぎで鳴らしてるから、ということやそうです。ちゅうても私にギターのセッテイングのことはよく分かりません。 でも、理屈やなしに、ご機嫌。体温を感じます。これは収穫でした。
ところで、今日昼ごはんを食べようと道歩いてたら、チャリンコに乗った外人さんの若奥様ふうの女性がもう一人、チャリンコに乗った女性と大声で話しながら私の目の前を横切って行きました。「いやー、ホンマ、私えらいビックリしたわー!」その流暢な関西弁に私は思わず立ち止まって颯爽とチャリンコで走り去るその外人さんを見送ってしまいました。ビックリしたんはこっちやがな、あんた。なんで関西弁やねん!
そんな一瞬の出会いに似た驚きと喜び。いや、ホンマ、このCDよろしおまっせ。

2007/05/07

Faun









John McNeil/Faun(SteepleChase)LP
John McNeil(tp),David Liebman(ts,ss,fl),Richie Beirach(p),Buster Williams(b),Billy Hart(ds),Mike Hyman(ds)
79年録音。ジョン・マクニールのリーダー第2作目。
リーブマン、バイラークのコンビは普段一緒にやりなれているせいでしょうか、うまくアルバムの統一感をまとめるのにとても貢献しているように思います。そこにビリー・ハートの猛烈に煽りまくるドラミングが加わって、特にB面「Samba de beach」、「Ruari」は圧巻の一言につきます。
「Ruari」でのリーブマンのソプラノからバイラークにソロが受け継がれていくあたりの興奮は、もう、誰のアルバムやったけ?と忘れそうになりますが、その前のB面頭の「Iron Horse」でのJohn McNeilとMike Hymanのデュオを聴くと、全体を通じたアグレッシブな曲調がやはりリーダーのJohn McNeilの趣味なんやね、と安心できます。
マクニールは好きなサックス奏者として、リーブマン、グロスマン、ブレッカーの3人を挙げてます。コピーしても彼らのフレーズは吹けん、とブルーになるそうですが、そのラブコールに応えてリーブマンもエエ仕事しとります。前述の2曲に加え、A面のブルース「C.J.」のカッコいいこと。「Faun」でのフルートの美しさも実に素晴らしいです。

2007/05/06

Don't Ask My Neighbors









Raul de Souza/Don't Ask My Neighbors (Capitol)LP
George Duke(prod),Bobby Lyle(key),Ronald Bautista(g),Charles "Icarus" Johnson(g),Robert Popwell(b),Byron Miller(b),Leon "Ndugu" Chancler(ds),Harvey Mason(ds),Manolo Badrena(perc),Airto Moreira(perc),Azar Lawrence(ts,ss),and others
78年録音。前作「Sweet Lucy」に続きジョージ・デュークがプロデュース。POPな仕上がりでネイティブ感が薄れてますが、スーザの太く、暖かいボントロの音色が織り成すメロディには聴き惚れてしまいます。曲によってはオクターバーなどエフェクターをかけてるのもありますが、それも嫌味なくカッコイイです。
どちらかというと、Harvey Masonのちょっと軽くはねたような感じのビートの方がよくあっているような気がして、「La la Song 」「Beauty And The Beast 」「Fortune」「I Believe You」が特に好きです。そうそう「Beauty And The Beast 」はショーターの名曲です。
それにしても、これもすごいジャケットやなぁ。でも中身は「ガハハ、ガッツ・ポーズで決まりや!」の姿のとおり、快心の出来ですわ。

Peace Treaty









Nathan Davis/Peace Treaty(SFP)
Nathan Davis(ts,ss),Woody Shaw(tp),Jean-Louis Chautemps(bs),Rene Urtreger(p),Jimmy Woode(b),Kenny Clark(ds)
65年録音。10年以上前にCD化されたものの、永らく廃盤だったらしく、この春にアナログ、CDで再発されたという話題盤。アナログは澤野工房が販売してますね。
Nathan Davisって全く知りませんでしたがWoody Shaw入ってるし、3管のハードバップやってるという話で、これだけあちこちで誉められまくってたら聴いてみたくなるのが人情ちゅうもんやがな。
で、なんと申しましょうか、僕としてはそんな思い入れが無いせいもあって、さほど「すごいがな」という感慨はなく、すみません。。。
ネイザン・デイビスはデクスター・ゴードンとブッカー・アービンを足して2で割ったようなトーンで豪快に吹きまくってますが、ウディ・ショウもルネ・ユルトルジェもどこかウワの空っぽいような感じで、うーん、気のせい?僕、こういう超B級名盤って昔から得意じゃないので、しばらくしてある日突然この美味しさに気付くというパターンかもしれません。
ただ、4曲目「Sconsolato」のデイビスの妖しいソプラノの音色によるメロディは秀逸。7曲目のボーナス・トラックのバージョンはペットとバリサクを排して、ギターを加えたカルテット編成によるもので、ソロも短くあっけなく終わってしまうアレンジですが、こちらの方が曲、ソプラノの双方の美しさが際立っていてよいのではと思います。

2007/05/05

If They Only Knew









David Liebman/If They Only Knew(Timeless) LP
David Liebman(ts,ss),Terumasa Hino(Tp, Flh, Per), John Scofield(g), Ron McClure(b), Adam Nussbaum(ds)
80年録音。リーブマンのソプラノ、テナーも非常に妖しく美しく響くんやけど、80年代以降は殆んどソプラノしか吹かへんし、その音もどんどん暗く内省的な音に沈み込んでいくんでついていけなくなった、という思いがあるけれど、このへんはまだ聴けるかなぁ。マイルス・バンド以降はすっかりマルくなった感のあるジョンスコの音もこの頃は尖っててカッコいいし、なんちゅうてもヒノテルのブライトな吹きっぷりにはほれぼれします。
そういう点ではB面から聴くといいかも。2曲目のジョンスコとデュオの「Autumn In New York」が素晴らしく、ホンマ、フェイド・アウトするのが惜しいです。ラストのアップテンポで飛ばしまくる「Move On Some」では、リーブマンがお約束のようにAdam Nussbaumのタイコとデュオでテナーを吹きまくるところでますますヒートアップ、最後にジョンスコ、ヒノテル、リーブマンの3人で入り乱れたバトルの末にエンディングになだれ込むさまには「ようやった!」とポンとヒザのひとつでも打ちたくなりますがな。

2007/05/04

Atlantis









Wayne Shorter/Atlantis(Columbia/CBS)LP
Wayne Shorter(ss,ts),Jim Walker (fl,afl,picc),Yaron Gershovsky(key),Michiko Hill(key),Larry Klein(el-b),Alex Acuna(ds, per),and others
85年録音。ウエザー解散直後に「Native Dancer」から当時11年ぶりに発表されたソロ作品。Out Putで聴いて、なんかイマイチと思って全く聴かなかったレコード。今聴くと、実に素晴らしい。私の耳がイマイチでした。。。
でも、当時ってショーターのソロ作品となると、「Native Dncer」を超える美しい世界か、ハンコックとかと組んでニクたらしいマルサリス・ファミリーをギャフンと言わせるストレート・アヘッドな4ビートか、って期待しますやん。でも、そんな俗世間(?)とは無縁に、ショーターの音世界が緻密に描かれたアルバムが出てきたわけですからね。しかも、A面頭からB面へと曲が進むごとに、ショーターの内向きの世界にどんどん引き込まれていくという感じで、おそらくショーターの頭の中には伝説の「Atlantis」大陸で起こった数々の物語が描かれてたんでしょうね。
でも、まぁ、それを抜きにしても、60年代のフレディ・ハバードの「Body and soul」のショーターのオーケストラ・アレンジを起点にして、最近の「alegria」「Beyond the Sound Barrier」あたりまで頭の中で線を引くと、このアルバムは出るべくして出たもんやという気がします。
一言難を言えば、これ聴くとバックの人たちはひたすら譜面を追っかけているという感じがして、そこは少し違和感を感じてしまいます。次はなんとか「Phantom Navigator」をゲットしたいものです。

Embarkation









John Mcneil/Embarkation(Steeple Chase)LP
John McNeil(tp,flh),Bob Berg(ts),Joanne Brackeen(p),Rufus Reid(b),Billy Hart(ds)
78年録音。70年代、ホレス・シルバーのバンドやサド・メルのオーケストラなどで活躍してたというMcNeilが30才の時に吹き込んだ初リーダー作。ライナーノーツでは「レコーディングの実績もなくて、ホンマ無名で、新しく出てきた才能ある人を紹介できるっちゅうのはジャズ・ライターの喜びやがな」と書かれてますが、これは紹介されたほうも嬉しいですわな。
実は関内のDisk Unionで、ジャケットのクレジット見てサイドのメンツから、こりゃ面白そうと思って買ってきましてん。ボブ・バーグがフロントにいてジョアン・ブラッキーンにビリー・ハートとくれば、かなりホットにやっとるんちゃうかというヨミは当たりまして、もうピアノとタイコに後ろからやられまくってるやん、というぐらいですが、マクニールは明るく、元気なTomHarrellちゅう感じで、結構マイペースで吹いてます。
ちょっと調べてみて、ホレス・シルバーのバンドではディスコグラフィーに名前が見つけられなかったのですが、ライブがメインでTom Harrellのトラで出てたのでしょうか。そのへんのよしみもあって、このアルバムではボブ・バーグが呼ばれたのかもしれませんね。
マクニールは今はEducatorとしても有名だそうで、「Art of Jazz Trumpet」ちゅう教則本はランディ・ブレッカーが絶賛、クラーク・テリーも「素晴らしい!」と誉めてるようです。私、ちっとも知りませんでした。

2007/05/02

Changes One









Charles Mingus/Changes One(RHINO/Atlantic)
Charles Mingus (b),Jack Waltrath(tp),George Adams(ts),Don Pullen(p),Dannie Richmond(ds)
74年録音。1曲目「Remember Rockefeller At Attica」で意外と洗練された音色とフレージングでブローするジョージ・アダムスを聴くと血沸き肉踊るんですね。そうそうジョージ・アダムスは自分のアルバムでももちろん、いろんなところで唄ってて、今となってはとっくにネタバレしてる芸ですが、ここの「Devil Blues」でシャウトしまくった後にテナーでリフを吹きまくってエンディングに向かうところでは、ホンマ冗談としか思えないノリに思わず笑ってしまいます。
アルバムのハイライトはアダムスとドン・プーレンがエネルギー大爆発で聴かせてくれる2曲目の組曲仕立てとなってる「Sue's Changes」ですが、やっぱりラストの「Duke Ellington's Sound of Love」がグッときますなぁ。このアルバム録音の半年ほど前にエリントンが亡くなってるので、ミンガスが「Changes」セッション自体もこの曲も特別な思いをもって演奏したのは間違いないでしょうね。「Chnges Two」にはこの曲がSy Johnsonのアレンジで、Jackie Parisのヴォーカル入りのテイクが納められてますが甲乙つけがたい出来です。
僕はこちらの「One」に入ってるインストのほうが好きです。アダムスのソロもイイですし、ミンガスのベース・ソロも泣かせます。おまけにテナーとトランペットのユニゾンによるメロディの美しさは、特にラストコーラスに来るとホンマ感動もんです。